Anonymus(アノニマス)をどう評価するかはいろいろなファクターを考える必要があり、なかなか難しい。しかし、私たちは基本的に支持する。
時折ニュースで話題になることはあっても、アノニマスの実体は匿名を旨としていることもあり、必ずしもよく知られていない。彼らのごく簡単な歴史と活動については以下の情報が参考になる。
・Wiki
・塚越健司氏の論考
・塚越健司氏の論考Z(続編)
・アノニマスメンバーへのインタビュー
これまでの彼らの活動でよく知られているものは以下の通りであるが、もちろんこれ以外にもあると思われる。これらのたたかいで彼らが使った主な方法はサイトのハッキングによる情報リーク、DDos攻撃によるサイトダウンであるが、それだけでなくネットで呼びかけて街頭行動もおこなっている。
・「アラブの春」への支援
・宗教カルト「サイエントロジー」への批判
・メキシコの麻薬組織「セタス」への攻撃
・違法ダウンロード刑事罰化への抵抗
・北朝鮮およびアメリカの核兵器活動への反撃
活動は多岐にわたっていて一見するとランダムとさえ言えるが、しかし「人の尊厳や自由」が侵害された時に反撃するという点で共通している。だがそれにとどまらず、核兵器への姿勢に見られるように帝国主義的な動きに対しても抵抗している。
この立場は彼らのスローガン “We are Anonymous. We are Legion. We do not forgive. We do not forget. Expect us.” によく表現されている。人の尊厳がかけられているからこそ do not forgive であり、do not forget なのだ。別の言葉をつかえば「悪をなした者たちへの報復」と言えるかも知れない。
アノニマスは匿名の個人であり、たたかいのプロジェクトごとに集まり、課題が達成されれば散開するようだ。またプロジェクトにリーダーは存在しないとされている。
しかし実際には、あくまで合法的活動を基本とするメンバーと、時には非合法的な活動も辞さないとするメンバーに分岐しているようだ。アノニマスが本質的に特定のイデオロギーを持たず、したがって固定的な組織ではないことを考えると、さまざまなアノニマスが互いに緩やかなつながりを維持しつつ、いくつかのグループに分岐していくことは自然なことと思われる。それは後退ではなく、むしろ成長と考えるべきだろう。
彼らの誕生が日本の2ちゃんねるに相当する4チャンネルであったことは、彼らのたたかい方のみならず、活動スタイルもネットに規定されていることは明らかであるし、その意味でネットが彼らを生み出したと言っても間違いないだろう。しかしもともと蓄積されていた彼らの思い(怒りや同情)をネットが引き出しかたちにしたとも言える。
このアノニマスの活動スタイル、たたかい方は、私たちが掲げるノード的なそれとほとんど一致している。つまり彼らから学ぶことは多い。ノード運動とは(ハッキングを主な武器とするハクティビズムを別にすれば)アノニマスの一グループであるといってもいいくらいだ。
アノニマスは、そもそもその成り立ち、活動のスタイルから、恒常的な組織を持たないし、党派ではない。だから今後壁にぶつかり、停滞や衰退を余儀なくされる可能性も高い。だが、たとえそうなったとしても、アノニマスとは匿名の個人であるがゆえに、私たちノードと同様現実が不断に新たなアノニマスを生み出すだろう。
今後も彼らの活動をフォローし、ともにたたかっていきたい。
2013