シリア内戦が激化しています。化学兵器が使われた8月以降、アメリカが軍事介入を宣言し、事態が急展開しています。これをめぐって大方の世論はアメリカ軍事介入反対で一致しているようです。しかしはたしてそれを主張するだけでいいのか疑問が残ります。シリアの歴史と内政について詳しくは分からないので、印象的なレベルにとどまっていると思いますが、ツイートしたものをまとめてみました。ご意見いただければ幸いです。

TLがアメリカのシリア軍事介入反対で埋められている。反対理由には道理がある。しかし、アサド政権の弾圧や虐殺に対してどう対応すべきかがすっぽり抜けたものが大半である。アメリカの介入に反対だけでは、アサド政権には目をつぶっておこうという選択をおこなっていることになり、無責任な態度になる。

アメリカの軍事介入以外の方法で、アサド政権にストップをかけられるならそれがベストの選択だろう。たとえば国連軍による介入。しかしロシア、中国の反対でその可能性は低い。だとすれば次にどんな対応があるだろうか?

シリア国民が中心であるとしても、さまざまな要素を抱えた反政府軍への支援が次に選択されるべき対応だろうか?これが「国際法違反の弾圧は国内問題ではない」という立場と、「当事者主義」の原則からの対案には違いない。しかし、ロシアや中国、イランに支えられたアサド政権との内戦は、2011年以降続いているし、短期に決着はつかず、その間、多くの死者が出るだろう。

他方で内戦における化学兵器使用という緊急事態があり、かつそれにどちらの陣営が使用したか現時点で判定されていないという問題が絡んでいる。アメリカはアサド政権の仕業と断定し、それにフランス、イギリス、トルコが同調し、ロシアは、反政府軍が内戦にアメリカを引き込むために仕掛けたものとし、これに中国、イランなどが同調し、真っ向から対立している。

疑問があるのは、アメリカの軍事介入反対の人たちの大半は、かりに現在オバマ政権が主張しているように「アサド政権が化学兵器を使用した」ことが明らかになっても、なお軍事介入反対の立場を変えないのかどうかである。

これに対しては「そうだとすれば、確かに緊急事態であるけれど、再使用を防ぐしかなく、それには軍事介入ではなく反政府軍を支援しつつ、国際社会の圧力をかけ続けることしかない」という立場が主張されるかも知れない。

オバマ政権は、今回のシリアへの軍事介入は空爆に限定され、イラクのように地上軍の投入はなく、かつ時間も限定されるとしている。しかしどのような規模であれ、アフガン、イラク、リビアのように内戦への一方的な軍事介入はシリア国民の当事者主義的解決への道を歪め、アサド政権崩壊後の国内再建を困難なものにすることも否定できない。

だとすると、たとえロシアの下心が見え見えの提案であっても、とりあえず国連への化学兵器受け渡し、破壊、管理によって「アサド政権の化学兵器再使用の可能性を封じる」ことを最優先し、つぎに反政府派への支援、大量の難民への支援を行いつつ、アサド政権への国際圧力をかけ続けることが次善の策ということになるのだろうか。反政府派への支援や国際的な圧力は、たんに武器や物資の援助に限らず、国連軍にかわって国際的な義勇軍の結成と派遣もありうるかも知れない。しかしそれで問題がすぐに解決するわけでもない。

ただ、当事者主義の立場で内戦続行を傍観するだけでは、アサド政権の国土破壊、難民、虐殺を防げない。すでに人口の20%近くが難民化したということは、すでにアサド政権は国民に見放されていることを示しているが、それでも権力を手放さないのだから、今後化学兵器以外のあらゆる通常兵器、拷問などで反政府派を弾圧してくるだろう。どういう方法でこの弾圧を終結させるかがなお課題として重くのしかかっている。

これはアサド政権の退陣と新しいシリアの再建をどう実現できるかにかかっている。

この実現に向けて、可能ならば、できるだけ早期に、アサド政権をシリア問題解決のための国際会議に引き出し、そこで亡命などを条件に反政府派で構成される新しい国民議会に政権を譲渡させる方法が望ましいだろう。当然ロシア、中国、イランなどが反対するだろうが、それをどう跳ね返し、シリア再建への道をどう支援できるかが緊急の課題になる。

アサド退陣をめぐる大国の思惑をはねのけるのは、シリア国民の結束と、国境を超えてどれだけ人びとが支援するかかっている。

そのために私たちに何ができるか?