研究猫ともさんが、れいわ新選組にたいする提言の補足(note『提言の経緯と補足』)の中で、全国の支持者が自由に出入りできるプラットフォームの形成を提案している。

このプラットフォームはともさんと仲間の人たちによって既に具体化されている。オープンチャットサーバーDiscord上のれいわ新選組非公式ネットワーク「れいわプラットフォーム黒幕連」がそれである。

Discordサーバーをいったんパソコン上にダウンロード、インストールし、それを立ち上げてから入室するという手順が少々わずらわしいのが欠点だが、テーマごとに作られたチャット部屋の多さに驚く。やや学術的なテーマを扱う別室「れいわ研究所(猫ラボ)」もあり、ここでの部屋を合わせれば、部屋の総数はおそらく130室くらいになり、アカウント登録者も現時点で1,000名を超えているのではないか。

では、研究猫ともさんが構想したプラットフォームとは何か。氏のnoteポストを読んでいただけばいいのだが、エッセンスを以下引用しておく。

「私は(安冨氏のいう)『カオス状態』をなくすために『ガチガチの政党組織』を作ることを提言しているわけではありません。… 私が作りたいのは、『今まで全く見たことないようなフリースタイルな政党組織』であって、『ガチガチの政党組織』ではないのです。…また、カオス状態自体は是なのであって、カオス状態ゆえにかえって強烈なヒエラルキーが誕生しつつあることが非なのです。強烈なヒエラルキーというのはつまり、太郎さんが絶対視されていること、事務所が絶対視されていること、ポスター貼りが絶対視されていることです。そして、勝手連が今後大きくなることで、『勝手に動く』個人ボランティアに対する『勝手連』組織による統制が発生することを危惧しています。これは全くの逆説的状況です。… 私が作りたいのは、カオス状態の中からルールや役割が自生するための場となる、プラットフォームです。場をつくり、そこに誰が出入りしても、どんな意見を述べても自由であり、そこからさまざまな新たな活動やプロジェクトが生まれていく、というのが私の理想とする状態です」

プラットフォームという概念は、直接には、全国で自然発生的に誕生しているれいわ支持者の動き(個人、グループ)が横につながっておらず、バラバラの状態にあることへの危機意識から生まれたと思われるが、しかしここでは本質的にはそれが、出入り自由なフリースタイルの組織であり、同時に、カオスから逆説的に統制支配が発生するリスクを回避するために必要な装置でもあると言われている。この指摘は正確であり、支持したい。

問題は、おそらく今後、黒幕連以外でも複数誕生してくるであろうこのようなプラットフォームとれいわ新選組との関係である。山本氏や事務局が今後もあくまで一般党員制を拒否するなら、党にとって各プラットフォームは非公式な存在にとどまることになる。つまり支持者やプラットフォーム自体は党の意思決定に参加できないままである。しかしそれではプラットフォームに集う支持者たちとうてい収まらないだろう。支持者は、研究猫ともさんが主張するように、党の主体として、それぞれが党のオーナーであるべきだからだ。党や事務局も、現状の組織で支持者をつなぎとめることは早晩不可能になるだろう。

この対立は、山本氏が自ら強調しているように文字通り「旧体制」を乗り越える「新体制」を作れるかどうかをめぐるものであり、深刻化すれば、れいわが体現する社会運動内部に、プラットフォームに軸足を置き、あくま党の主体としての個を貫こうとする左派が生まれるかも知れない。

2019/12/25