安倍一派が「戦後レジームの打破」という時、その「戦後」には、連合国との帝国主義間戦争で敗北した結果、戦勝国によって仕切られた戦後秩序という側面 と、憲法に自由と民主主義をビルトインし、ファシズムの再興を二度と許さないという内外の民衆的立場からの戦後秩序という側面が含まれている。

安倍一派には、後者は頭になく、前者の「戦後秩序」を清算したいのだろうが、それはアメリカ(や中国)を筆頭とする戦勝国と衝突することになる。だが、それでは日米安保体制のもとでは見果てぬ夢にとどまるし、アメリカが許容する範囲内で、自立的国家の対面をつくろう中途半端で姑息なやり方にならざるをえない。

実際には、アメリカに追随し、その戦略のもとで、集団的自衛権なる名目で自衛隊を海外に派遣することを通じて軍事化をはかることしかできない。だか ら「戦後レジーム打破」は、彼らの主観的意図とは別に、ますますアメリカの軍事に組み込まれる結果になり、むしろこのレジームを強化することになる。

後者の側面についていえば、その清算は、日本を帝国化することであり、人びとをふたたび帝国の臣民として編成することである。国民主権を否定する彼らの憲法草案がこのことを明確にしている。これは自由と民主主義を守ろうとする人びとと内戦に入ることを意味しているし、実際内戦はすでに始まっている。

「大東亜戦争」における完全な敗北を正面から受け止められず、敗北を「終戦」と言い換え、戦争責任から逃避してきたのは、戦争指導者たちだけでな く、民衆の側もそうであったとすれば、いま安倍一派が仕掛けてきている内戦を草の根からたたかうことによって、私たちにとっての「戦後レジーム」を本物に しなければならない。

11/2/2014